「身近な道具の使い勝手—ヒューマン・インターフェイスの問題」昨年までのレポート要約


「情報化社会と人間」マン=マシン・インターフェイスの問題(文学部吉村担当)

レポート課題参考資料 『使いにくさの改善法』(昨年までのレポートを振り返って)

1 自販機の問題点

 自動販売機というのは、実に便利な機械である。深夜にジュースが飲みたくなっても、ちょっと外へ出れば、日本中だいたいどこにでもある。コンビニに深夜にジュースを1本だけ買うと店員がいやな顔をしそうなところだが、自販機なら気軽である。だが、その自販機にも問題がないわけではない。

 第1に、取り出し口である。なぜ、あんなに下についているのか。また、深夜にジュースを1本というのなら、上にあろうが下にあろうが大したことでないが、疲れているときや自転車に乗りながら買おうとしているときなど、かなりいらいらする。さらに、あの取り出し口は横に長く、かつ外から内側が見えにくくなっているので、どの辺からジュースが出てきたのか分からないことがある。取り出し口が2つに分かれているものなど、さらに不便である。ボタンのある位置とジュースの出てくる位置に何か関連があるのかと思ってみたが、そういうわけでもないようだ。

 次に、お金の出し入れの問題である。これは、自販機だけでなく、両替機などにも共通するが、小銭にしろ、お札にしろ、入れにくくてしょうがない。小銭は、普段なら簡単に入るが、寒くて手が震えていたり、手袋をしているときなど、入れられないことがある。落として自販機の下に入ったり、溝に落ちたりして惨めな思いをしたこともある。特に、お札に至っては、普段でも入れにくい。おそらく、雨で濡れないよう、あのように内側に食い込んでついているのだろうが、それにしても入れにくい。お札を入れられるのがいやでいやでしょうがない人とが作ったとしか思えない。また、釣り銭が出るところも小さくて、取りにくい。お釣りを渡そうという気がないのだろうか。

2 混雑時のバス昇降の円滑化

 金沢のバスのほとんどは、車体中央部に乗車口があり、最前部に下車口がある。バスが混雑してきた場合、新しくバスに乗り込む人は、前後がいっぱいなので中央部にそのまま立つことになる。統計的に言えることは、先に乗った人は後から乗り込んだ人よりやはり早く降りるそうである。そこで、最後部にいる人が降りようとすると、中央部に立っている人がじゃまになり、流れが悪くなる。本当に混雑しているときには、最後部からの下車は困難を極める。後ろ乗り、前降りというシステムの方がよいのではないか。

3 バス運賃を早めにつかめ

 ある路線のバスに初めて乗ったと思ってください。しかも、あなたはあまりお金をもっていません。目的地に近づいてくると、どきどきしませんか。運賃はいくらなのか。そうです。バスの運賃は、目的地に着くまでいったいいくらなのか分からないのです。これは、バスの運賃表示の仕方に問題があると思われます。ある区間を走り終えると、次のバス停までの運賃が初めて表示されます。そして、自分がバスに乗ったときに取った整理券を見て番号を確認し、運賃を財布から取り出すのです。しかし、バスが混んでいて立っていたら、その行為はかなり大変です。それに、自分の降りるバス停が近づいてきたら、焦ってしまいます。そしてバス停に着いてから、バスの一番前で両替して運賃を払う羽目になるのですが、運転手さんは早くしてくれといわんばかりの仕草をします。

 これについての問題点は、バスに乗る前に目的地までの運賃を知っているということで解決される。したがって、各バス停に運賃表を取り付ければよいのであろうが、それでうまくゆくであろうか。

4 角間の校舎、どこが1階?

 誰でも経験したことがあると思うが、総合教育棟では、どうしてエントランスの階が2階なのか。たとえば、C1教室に行く用事があるとする。そこで、エントランスから会談を昇って3階に行く、というのが世間の相場だと思う。しかし、教室の前まできて、ふと見上げると、そこにはB1と書いてある。そう、総合教育棟は2階がAの階、3階がBの階…、となっているのである。

 メンタル・モデルは、1階がAの階、であることを要求する。ところがここは、それとは別の世界というわけである。もう少しすると新入生が入ってくる。彼らも、この問題点のために教室を間違えることが多々あるだろう。ひょっとして、履修ガイダンスに遅れてしまい、抽選に参加できないという辛酸をなめることになるかもしれない。

 では、どういった対処が考えられるだろうか。1つは、エントランスのある2階をBとすればよい。だが、そうすると、Aが存在しない幽霊ビルになるような気もする。2つ目は、エントランスのある階を1階とし、現在の1階を地下1階とする方策である。でもそうすると、大学会館の1階(郵便局のある階)から地下道を通って教育棟にくると、おかしな感じになってしまう。いずれにせよ、角間キャンパスの立地条件が問題である。

→新宿副都心の道路に立ってみるとよい。どこにいることが地上にいることになるのだろうか。都庁の展望台から地上の道路交差の様子を見下ろし、しばし考え込んでしまった。

5 関知式照明の時間設定

 金沢大学の角間キャンパスにあるアカンサス・インターフェースおよび総合情報処理センターにあるトイレや北側通路の照明は、熱感知センサーにより制御されている。この方式の利点は、必要時以外には転倒しなくてすむことである。長い通路であるため電灯数が多く、灯けっぱなしはたいへんな無駄である。また、暗闇の中でスイッチを探さずに照明が灯いてくれるので安心である。

 しかし、ときどき、通路の3分の1ほど進んだところで突然、照明が消えることがある。問題は、センサーの制御パネルの点灯時間設定が、手動の場合、最短10秒、最長30分となっている点にあると思う。速い人でも30秒はかかる通路に、10秒の設定を可能にしているのはいかがなものか。逆に、30分の設定はなぜ必要なのか。適当な時間で固定しておくのがよいのか。考え始めると予想外に難しい問題なのかもしれない。

6 左利き用文房具の改善策

 文房具には左利きの人にとって不便な作りになっているものが多い。そのことを考慮して、「左利き用」と銘打った商品も販売されているが、特に知られているのはハサミであろう。わざわざ左利き用に作られたハサミは、自分のような左利き人間にさぞ使いよいだろうという期待が膨らむのだが、その期待が見事に裏切られることも少なくない。そのことについて、朝日新聞の日曜版に興味深い特集が掲載されていた。それによると、左利き用ハサミは工学理論上では単純に右利き用を逆にすればよいが、実際にはそれだけではかえって使いづらくなる。刃が逆になるため力の入れ方も変えなければならないが、右利き用で慣れてしまっているため、それができない。だから、取っ手だけを逆にしてもちやすくし、刃はそのままというのがよいのだそうだ。一方で、右利き用からの影響の少ない子どもには、刃も逆にしたものが使いやすい。

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