はじめに 1
第1部 3つの逆さめがね実験までの道のり 5
第1章 逆転網膜像の発見とストラットンの問題意識 7
1節 逆転網膜像の発見がもたらした問題 7
2節 逆転網膜像生成の光学的仕組み 17
第2章 逆さめがね実験の歴史的概観 31
1節 Stratton以降の海外の主な研究 31
1.1 Ewert, Peterson & Peterson, Snyder & Pronkoの逆転視実験
31
1.2 Kohlerの実験 34
1.3 Dolezalの実験 38
2節 わが国での逆さめがね実験 40
2.1 変換視研究会発足まで 40
2.2 変換視研究会の発足による飛躍的発展 42
3節 筆者の行ってきた逆さめがね実験(3つの逆さめがね実験以前) 43
3.1 上下反転視と左右反転視の比較 43
3.2 逆さめがね長期着用実験の開始 46
3.3 左右反転めがね長期着用実験への移行 48
第2部 3つの逆さめがね実験 51
第3章 3つの逆さめがね実験の輪郭 53
1節 左右反転めがね 53
2節 左右反転めがねは奥行反転めがねでもある 54
3節 順応過程の個人差 (適応の型)の問題 56
4節 金沢'86[左右]に続く2つの逆さめがね実験 57
5節 2種類のデータ 59
6節 3つの実験状況の類似点と相違点 63
第4章 左右反転視実験 (金沢'86[左右])での内観報告データ 65
1節 認知地図の問題 65
1.1 めがね着用開始直後の認知地図 65
1.2 認知地図の安定化 66
1.3 明確な認知地図は行動をかえって混乱に陥れる 67
1.4 視野の動揺と宇宙酔いとの非類似性 68
1.5 リアリティの高さが不快感を引き起こす 69
1.6 開眼時の認知地図は閉眼時にも及ぶ 69
1.7 作り上げられた認知地図は頑強なものである 70
1.8 閉眼時の認知地図を代表する“風呂の配置” 71
2節 身体感覚の左右入れ換わり:自己受容感覚の変更 74
2.1 順応以前の問題:視覚の優位 74
2.2 見える手の動きと実際の手の動きとの対応感の進行 75
2.3 左右の手の差異 78
2.4 閉眼時イメージの暗躍 78
2.5 閉眼時イメージは“見るもの”“見えるもの” 80
3節 視−聴覚間関係(音源定位の問題) 82
3.1 めがね着用開始初期の視覚の優位 82
3.2 視野外と閉眼時の音源定位 83
3.3 視野内の音源定位の視野外への波及 86
3.4 音源の視覚的定位と聴覚的定位の混在が引き起こす混乱 87
3.5 純粋な音源定位の“抑制” 88
4節 視野の動揺 89
4.1 逆さま感に劣らない第一印象 89
4.2 位置の恒常性の崩壊 90
4.3 視野の動揺方向 90
4.4 異議を唱えるもとになった実験 92
4.5 左右反転めがね着用初期の視野の動揺 94
4.6 金沢'83[左右]実験の場合 94
4.7 “正解”を出そうとするナイーブな被験者 96
4.8 金沢'84[左右]実験の場合 97
4.9 さらに別の被験者の場合 99
4.10 開眼時の遂行の閉眼時への波及 100
4.11 視野動揺量の減少 101
4.12 「同方向」と「逆方向」の分岐点 102
4.13 頭の傾斜運動時の視野の動揺 103
4.14 徹底した逆方向感 105
4.15 前庭−動眼反射を指標とするアプローチ 105
5節 奥行反転:視差反転が引き起こす問題 107
5.1 両眼視差による立体視機能と視差反転 107
5.2 両眼視差情報以外の奥行手がかり 108
5.3 両眼視差反転は必ずしも奥行反転感を引き起こさない 109
5.4 認知的枠組みは奥行反転感を抑止する 111
5.5 正常な奥行感と奥行反転感の葛藤 112
5.6 奥行反転感は重複視野外にも波及する 113
5.7 奥行反転感を促す透明性 114
5.8 生じた奥行反転感はいつまでも続くか 114
5.9 奥行反転の順応的変化を示唆するデータ 116
6節 感覚−運動協応の問題 118
6.1 感覚間関係に劣らず重要な問題 118
6.2 残効の主役は感覚−運動協応 118
6.3 “関係の変化”の吟味の難しさ 120
6.4 “自己受容感覚”は自己と外界のインターフェイス 121
6.5 自己受容感覚器からの情報に空間表象能力はあるか 122
6.6 めがね着用中の感覚−運動協応の変化 123
6.7 頭や身体運動に関する順応的変化 127
7節 左右反転視実験での内観から見極められた順応状況 128
第5章 逆転視実験 (金沢'88[逆転]) での内観報告データ 129
1節 リアリティ=現実感の問題 130
1.1 低いリアリティ 130
1.2 マルチ・フェイズ 131
1.3 斜め前方を見下ろす姿勢での知覚印象の変化 133
1.4 視覚情報の“記号性” 136
1.5 逆転視状況下のボディ・イメージ 137
1.6 視野の動揺感に及ぼす閉眼時イメージの影響 137
1.7 上下次元では2つの適応型の区別が不必要 140
1.8 逆転視状況では頭の傾斜時の視野動揺はない 141
2節 4種類の反転感 142
2.1 4種類の反転とは 142
2.2 天地次元の反転感 142
2.3 天地反転感の順応的変化 143
2.4 斜め下前方視が天地反転感消滅を促進する 145
2.5 手前−向こうの反転感 146
2.6 奥行方向の反転 147
2.7 左右次元の反転感 148
2.8 メンタル・ローテーションの働き 153
3節 感覚−運動協応の問題 154
3.1 めがね着用開始当初の混乱 154
3.2 めがね着用時間の進行に伴う感覚−運動協応の変化 156
3.3 残効から捉えた上下次元と左右次元の差異 157
第6章 上下反転視実験 (金沢'90[上下]) での内観報告データ 159
1節 意味の崩壊と見えのリアリティ 160
1.1 顔や動作の同定の混乱 160
1.2 位置の恒常性と視点の問題 163
1.3 奇妙な見えのまま“見えのリアリティ”が回復 170
2節 ボディ・イメージとメンタル・ローテーション 171
2.1 感じられる身体位置の順応の難しさ 172
2.2 不必要なメンタル・ローテーションの実行 176
2.3 見える足と感じられる足の対応づけ:認知地図との連動 179
3節 正立感の問題 181
3.1 本被験者の示した否定的データ 182
3.2 正立感を促す条件 183
3.3 他の文献に見られる正立感再獲得:Kohlerの研究 187
3.4 眼上鏡とそれ以外の上下反転めがねの比較 189
3.5 正立感の再獲得をめぐるこれまでの研究の整理 191
3.6 正立感の記述に際して配慮すべきこと: Dolezal の提案 196
3.7 被験者=研究者という構図 199
第7章 テストデータに基づく「3つの逆さめがね実験」の比較 203
1節 矢印書字テスト 205
1.1 テスト方法の概要 205
1.2 結果の表示法 205
1.3 開眼時の遂行と閉眼時の遂行の違い 207
1.4 刺激提示面の問題 208
1.5 逆転視・上下反転視状況では順応的変化が現われにくい 210
1.6 矢印の命名=基準語の問題 (上下反転視実験での検討) 211
1.7 言語的命名と行動遂行の不一致 212
2節 右左折判断テスト 215
2.1 テスト方法の概要 215
2.2 左右反転視状況での右左折感の反転 216
2.3 逆転視と上下反転視の対照性 218
3節 利き手判断テスト 220
3.1 利き手判断は直感的 220
3.2 テスト方法の概要 221
3.3 左右反転視実験の結果 222
3.4 逆転視と上下反転視実験の比較 225
3.5 利き手判断における複数の反応方略 226
4節 認知地図描出テスト 228
4.1 描画によって頭の中の認知地図を評価すること 228
4.2 テスト方法の概要 229
4.3 正常視者と左右正反対の認知地図の世界に住む被験者 230
5節 受動運動時の身体回転方向感テスト 232
5.1 逆さめがね着用中の能動運動と受動運動 232
5.2 閉眼・受動運動時の閉眼時イメージ 233
5.3 テスト方法の概要 233
5.4 閉眼・受動運動条件の結果 234
5.5 比較のための他の2条件 236
6節 頭部−身体座標協調時の姿勢表象テスト 236
6.1 テスト考案のきっかけ 236
6.2 テスト方法の概要 238
6.3 姿勢表象を支配する2つの原理 240
7節 L型金具のパターン知覚テスト 242
7.1 手で触れる物体の形態知覚 242
7.2 テスト方法の概要 244
7.3 開眼時の反応の一貫性 244
7.4 閉眼時の反応に見られた順応的変化 247
7.5 “S−R Compatibility”による説明 249
8節 書字・読書行動 251
8.1 文字の問題の特殊性 251
8.2 書字行動 252
8.2.1 「漢字書字テスト」(金沢'84[左右]) の結果 253
8.2.2 「新文字書字テスト」(金沢'84[左右]) の結果 254
8.2.3 漢字と新文字書字の比較 255
8.2.4 書字動作の特殊性 255
8.2.5 安定期に入るまでの書字行動の推移 256
8.2.6 書字面条件の問題 259
8.2.7 字の流暢さ 262
8.3 読書行動 263
8.3.1 最もやっかいな上下反転視状況 264
8.3.2 逆転視状況での読書行動 264
8.3.3 実験中の読書行動の管理 266
8.3.4 “familiarization(親近化)”の問題 266
第3部 3つの逆さめがね実験から得られたもの 271
第8章 「3つの逆さめがね実験」以降 273
1節 金沢'91[左右]実験 273
1.1 ナイーブな被験者の特徴 273
1.2 手型適応被験者の特徴 275
2節 金沢'92[上下]実験 276
2.1 非マルチ・フェイズ現象 277
2.2 正立感再獲得の難しさ 278
第9章 逆さめがねの世界への知覚順応理論 281
1節 左右反転視実験における天地反転感の消滅 281
1.1 “混在”と“統一” 281
1.2 正立感の再獲得を難しくする要因 284
1.3 身体の左右対称性が促進するもの 286
1.4 網膜基準系の問題 286
2節 牧野の枠組み論 (自己−外界体制の問題) 288
2.1 逆さめがねを着けるとなぜ逆さに見えるのか 288
2.2 定位基準の交替 290
2.3 交替か併存か 290
3節 逆さめがねの世界への知覚順応図式 292
3.1 ボトム・アップ情報とトップ・ダウン情報 292
3.2 視覚情報と自己受容感覚情報 295
3.3 注目すべき順応の第3段階 296
3.4 残効が訴える第3の要素:感覚−運動協応 298
3.5 視野の動揺の残効 300
4節 完全順応への道 300
4.1 頭の向き・運動のボディ・イメージ 301
4.2 想定される完全順応状況 301
4.3 想定される完全順応後の残効 303
第10章 これからの逆さめがね実験のために 305
1節 順応の主要な流れ 306
2節 被験者に求められていること 307
3節 自己身体表象の視覚性と自己受容感覚 309
3.1 Harrisの“自己受容感覚” 309
3.2 “自己受容感覚”という用語 314
3.3 自己受容感覚による空間表象 318
4節 広視野左右反転めがねの考案:コロンブスの卵 322
長い長い議論への短い結語 330
引用文献 331
索 引 339