逆さめがね制作史(2003, 明星大学心理学年報)



吉村浩一
Making inverting, up-dwon reversing,
and left-right reversing goggles: A historical review
Hirokazu YOSHIMURA

1. 凸レンズ式逆転めがね
  1.1 ストラットンの逆転めがね
  1.2 エバートの逆転めがね
  1.3 シュナイダー・プロンコの逆転めがね
2. 鏡式上下反転鏡
  2.1 インスブルック大学で考案された鏡式上下反転鏡
  2.2 我が国での鏡式上下反転鏡
3. 直角プリズム式反転めがね
  3.1 コーラーらの左右反転めがね
  3.2 竹井機器製めがね
  3.3 ドレッツァールの上下反転めがね
  3.4 吉村の広視野左右反転めがね
4. アミチダハ・プリズムを用いた逆転めがね
5. ビデオ方式逆さめがね
6. どこにめがねを固定するか
  6.1 頭に固定するめがね
  6.2 眼球に固定するコンタクトレンズ式逆さめがね
  6.3 肩に固定する逆さめがね
  6.4 身体外に固定された逆さめがね
7. アートとしての逆さめがね

1. 凸レンズ式逆転めがね
1.1 ストラットンの逆転めがね
 19世紀末,世界で最初に逆さめがね長時間着用実験を報告したStratton(1896, 1897)は,“逆転めがね”を自ら着用し実験に臨んだ.“逆転めがね”とは,左右反転視+上下反転視,すなわち正常な視野像を180度回転させた映像を生むめがねのことである.ストラットンにとって,左右反転視や上下反転視のいずれでもなく,逆転視のもとで実験を行うことに必然性があった.正常視状況で映し出される網膜像は外界の逆転像であり,それを再逆転して外界と同じ空間位置関係に戻した網膜像のもとで正立感の再獲得が可能かどうかを問いたかったのである.
 ストラットンの用いた逆転めがねは,2枚の等焦点凸レンズを円筒の中にお互いの焦点距離だけ離して固定し,逆転を実現するものであった.このような円筒式めがねでは,視野の広さをいかに確保するかが課題となる.それには,大きな凸レンズを用いるか屈折率の高い分厚い凸レンズを用いればよいのだが,いずれも重量が増し,長時間着用に耐えなくなる.そこでストラットンは,二重凸レンズ方式を採用した.上で述べた2枚の凸レンズのそれぞれを,近接した2枚の凸レンズに置き換え,直径視野45度のクリアな逆転映像を実現したのである.少なくとも彼自身は,そう報告している.
 当初,彼は,この円筒式光学系を左右両眼用に,ちょうど双眼鏡のようなめがねを作成した(接眼部の脇から外が見えないようパッドなどで遮蔽した).しかし,両眼の像が融合せず(両眼視差が反転するため二重像が解消しない.これについては後述する),最終的には左眼用を遮蔽し,右眼単眼で実験を行った.

1.2 エバートの逆転めがね
 ストラットンは,自ら用いた逆転めがねについて,あまり詳しく記述していない.それに対し,ストラットンから30年以上を経て同じく逆転めがねを用いて長期着用実験を行ったEwert(1930)は,新たに作成した逆転めがねの構造を,論文中に詳述している.光学系に造詣が深かった彼の記述を紹介しよう.
 エバートはまず,次のような方針で,逆転めがね作成に臨んだ.
(1)鏡やプリズムでは奥行弁別を縮小してしまうので,レンズ系を用いる.
(2)レンズ以外から入ってくる光線を排除する.
(3)鮮明で輪郭のはっきりした視野像を得るため,色収差や球面収差を補正する.
(4)鮮明な映像を得て瞳孔間距離を調節できるように,対物レンズは調節可能にしておく.
(5)長期間の着用に耐えうるよう,軽い装置を実現する.
(6)レンズは,取り外し可能とする.
 装置は,Harvard Physics Shopで組み上げられた.フレーム全体の重さは,ヘッドギアを含めアルミニュウムで作られ,6.5オンス(184グラム)であった.レンズ系は,片眼3枚のレンズ(接眼側から,A1,A2,A3とする)で構成され,各レンズの焦点距離は順に,30mm,38mm,51mmであった.また,A1とA2の中心距離は41mm,A2とA3は49mmであった.A3は,色収差を補正する対物レンズであった.3枚のレンズは,Spencer Lens Co.で製造されたplano-convexレンズで,A1の凸面は対物側に,A2とA3の凸面は接眼側に向いていた.3枚のレンズの直径は,順に,16mm,28mm,20.5mmであった.レンズ系については,Ewert(1930)以外にEwert(1936)にも記述があるので,それを加えて解説してゆく.

図1挿入

 図1は,Ewert(1936)に掲載された光学系である.図には,無限遠を見ている状況(細線)と25cm離れた近点Pを見ている状況(太線と破線)を重ねて示してある(点Pそのものは,スペースの関係で描かれておらず,図の左先にある).眼球の向きは,点Pの虚像P'を見つめているときの方向に描かれている.この図は,左右両眼を上から見たところ(top view)であるが,近点Pを見ているとき,左右の眼は外転しなければならないことになる.しかし実際には,ヒトの両眼は外転輻輳ができず,したがってPは二重像となる.無限遠を見ているときには両眼は平行で,近くを見るときには開散(diversion)という,正常視のときと逆方向の輻輳となる.このようなわけで,左右の反転を含む両眼式逆さめがねは,奥行反転も背負い込み,いわゆるシュードスコープ機能をもつことになる.

図2挿入

 エバートの作成しためがねの外観図を,Ewert(1930)から引用した(図2).それぞれのレンズはアルミ製の輪a,b,dに固定され,その輪にはネジ溝が彫られている.ねじ込み量を加減することで,焦点を調節できる.円筒はa,b,c,dのところで分解でき,レンズを外すこともできる.慣れてくると,組立には5分も要さない.細長い穴Sを利用して,瞳孔間距離を調節できる.穴Hはヘッドギアをつけるためのものである.
 視野の広さは,単眼で31度,両眼でも34.5度であった.Ewert(1930)は,この狭さについて,次のように注釈し,暗にストラットンを批判している.「ストラットンの単眼視野は45度と報告されているが,われわれは,Bausch & Lomb Optical社や,Spencer Lens社,ハーバード大学のPhysics Shopの研究室の援助を受けたにもかかわらず,それほどの広視野を得ることができなかった」(p.201).Ewert(1930)には,距離に応じた像の倍率など,さらに詳細な光学的特性が記述されている.

1.3 シュナイダー&プロンコの逆転めがね
 エバートの実験からさらに20年以上を経て,Snyder & Pronko(1952)が逆転めがね長期着用実験を行った.その間,Peterson & Perterson(1938)による逆転めがね長期着用実験があったが,これは上に解説したエバートのものを借りて行われた.それに対し,シュナイダー&プロンコは,新たに両眼式逆転めがねを作成した.

図3挿入

 彼らが用いた視野逆転のためのレンズ系の仕組みを図3に示した.これを両眼用として2組使用した.図3のAとBが対物レンズ,CとDが接眼レンズで,ABとDCは対称構造をなしている.対物側も接眼側も,貼り合わせ二重レンズ(cemented doublet-type lens)(AとD)と集光レンズ(condensing lens)(BとC)の組み合わせであった.クラウンレンズ(AとD)は,両凸レンズで,貼り合わせて作ることにより,球面収差と色収差を最小限に抑えることができる.貼り合わせレンズから離れて置かれた集光レンズは,一方の面が凸で,他面はフラットであった.このレンズは,レンズ系の焦点距離をさらに短くするために用いられた.両端には,同じ曲率の凸面と凹面をもつ強化レンズ(flint lens)が置かれた.望遠鏡(円筒)の対物側の端には,窓穴(aperture stop)が設けられた.また,2枚の集光レンズのあいだには,視野制限窓(field stop)が置かれた.以上のレンズ系が,真鍮性の円筒にマウントされた.この装置は,A.J.Kavanagh博士の指揮のもと,American Optical Company Research Laboratoryで作成された.

図4挿入

 このような2本の光学系が,図4に示したヘッドギアに取り付けられ,両眼視用逆転めがねとして組み立てられた.2本の円筒には,眼に近づけたり遠ざけたり,また平行にしたり収斂・拡散したりできるよう,調節機構がつけられていた.ヘッドギアは,3本のアルミニュウムの帯からできており,うち1本は頭のまわりにベルト状に巻かれ,他の2本は頭頂部に装置の重さを支えるため渡された.それらの内側にはスポンジ・ゴムが貼られた.これは,眼のまわりからよけいな光が入らないためと,皮膚面への緩衝のために利用された.接眼部には,必要に応じて近視用めがねレンズを挿入することができた.こうして得られた視野の広さは,直径20度であった.実際に使用するときには,2本の円筒は,少し収斂するように調整された.それにより,遠くを見るとき両眼はやや収斂するが,近くのものを単一視するため両眼を平行になるまで拡散することができた.もし,2本の円筒を平行に設置すると,前項のエバートのめがねと同様,近くを見るための拡散ができず,二重像となってしまう.
 
2. 鏡式上下反転鏡
 1920年代から1950年代まで,オーストリア,インスブルック大学のエリスマンとコーラーらのチームは一連の変換視実験を行い,その一環として,鏡式の上下反転鏡を作成した.彼らが最終的に長期実験に使用したのは眼上鏡式上下反転鏡だったが,研究の途上,眼下式上下反転鏡も試作していた.これら2種類の鏡式上下反転鏡は,1982年に我が国で行った共同実験でも作成・使用した.ここでは,2つのチームの上下反転鏡について解説してゆく.

2.1 インスブルック大学で考案された鏡式上下反転鏡
 Koher (1951,1953/1964)に掲載されているインスブルック大学チームが作成した上下反転鏡は,図5のようなものであった.この方式による上下反転像生成の原理はいたって単純で,帽子のひさし状に水平下向きに設置された鏡の映像を通して,上目遣いに外界を見る仕組みであった.直接前方を見ることのないよう,目の前は遮蔽物で覆われ,上部にあけた透き間を通して鏡像を見るようになっていた.

図5挿入

 大切な点は,使用する鏡の性能である.一般のガラスの鏡は,ガラスの裏面に鏡面が塗布されているため,上目遣いに斜めから鏡の映像を見ると,鏡面での反射像以外に,ガラスの厚さの分だけずれたガラス表面での反射像も生じ,二重像となる.この問題は,ガラスの手前面に鏡面を塗布した表面鏡を用いることで回避できる.インスブルック大学チームが使ったのは,金属製の表面鏡であった.
 鏡式の上下反転鏡を提案したのは,インスブルック大学チームの指導者エリスマンであった.最初は,鏡面を眼の下に設置し,下目遣いに反射像を通して外界を見る方式をとっていた.しかし,これだと,身の回りの行動のじゃまになるばかりか,眼の下の身体や足もと付近の映像がまったく視野に入らず,日常生活への支障が大きい.そこで,チームの一員クリューガーが,数枚の鏡を組み合わせる方式のものを考案したが,それも長期実験には不適切であった.長期実験には,野外での使用に耐えうるものでなければならない.彼らの被験者の1人,クンドラチッツ博士が,エリスマンの眼下式のものを眼上式に変える提案を行い,採用されることになった.これにより,足もとや身体近辺の映像が容易に得られる上,装置全体を帽子で覆えば,野外でもサンバイザー程度にしか目立たなくできた.視野の広さも,横80度,縦40度と広くなった.最初は,眼や頭を上に向け続けて前方を見ることに違和感があるが,上目遣いに慣れてくると,眼や頭の向きの不自然さも気にならなくなる(それにより,めがね除去後の眼や頭の向きに関する残効は生じる).

2.2 我が国での鏡式上下反転鏡
 1982年12月,我が国で逆さめがね研究に携わっていた知覚心理学者たちがチームを作り,大阪市立大学文学部の太城研究室で,上下反転めがね長期着用実験を実施した.3種類の上下反転方式を試み,それぞれ1名の被験者が当てられた.そのうち,鏡方式のものは,眼上鏡式と眼下鏡式が用いられた.その折りの実験記録が,作成された視野変換装置の解説とともに,太城・大倉・吉村・雨宮.積山・江草・築田・野津(1984)にまとめられている.

図6挿入

 眼上鏡と眼下鏡の作成については,その資料集の中で太城(1984)が整理している.まず,眼上鏡は,厚さ3ミリのガラス製表面鏡を用いて作成された.25cm×25mの四隅を丸く切断した鏡が用いられたが,鏡自体が425gと重かったため,アイスホッケー用のヘルメットにL型金具とアルミ製Lアングルで接着して鏡を固定した.眼前の覆いには牛革を用い,固定薬を塗布して形を固めた.図6aにこの眼上鏡を着用した状態の被験者を(自己身体の見える範囲が線と矢印で描かれている),また図6bには視野の形と広さを示した.視野はほぼ楕円形だったが,横最大121度,縦最大44度であった.図中,斜線で示したように,眼を動かすと,視野は横方向へ広がった.この装置の総重量は,1270gであった.

図7挿入

 一方,眼下鏡は,アクリル製2ミリ厚の鏡(表面鏡ではない)を用いたため,重量は145gと軽量で,ヘルメットを加えた総重量も,680gにおさまった.図7aに眼下式上下反転鏡を着用した被験者の様子を,図7bには,実測視野を掲げた.視野の形は眼上鏡よりさらに変則的で,やはり眼を動かすと,視野は若干広がった(図中に斜線で示した).こうして作成した2種類の鏡式上下反転鏡を用いて,それぞれ12日間と4日間の実験が行われた.
 筆者も後に,眼上鏡式上下反転鏡を作成した.それは,市販の野球帽のつば部分に,アクリル製の表面鏡を貼りつけたものであった.ガラス製のものより平面性では劣るが,軽量化を目指しての選択であった.アクリル表面鏡(アクリミラー社メタリカミラーM-001 1.5mm厚)を横27cm,縦19cmの長方形に切断し,平面性を保つため裏面に8mm厚のバルサ材を貼って補強し,帽子のつばにネジ止めした.前方の遮蔽物は,帽子部分とは独立に,スキー用のゴーグルを用いて作成した.ゴーグルの前面をラシャ紙で覆い,上面に透き間をあけ,そこを通して上目遣いに鏡面を見る.被験者である筆者は近視であったため,ゴーグル上面の隙間にはプラスチック・レンズをはめ込み,視力補正を行った.こうして作成した上下反転鏡の重量は,帽子の本体部分が238g,遮蔽用ゴーグル部分が66gであった.視野はやはり変則的な形だったが,最大部分で,横82度,縦44度であった.眼上鏡式上下反転鏡着用時の,被験者がとる姿勢と視野方向の関係を,図8に模式的に示した.この装置を筆者自身が着用し,14日間の着用実験が行われた(吉村,1993a).

図8挿入

3. 直角プリズム式反転めがね
3.1 コーラーらの左右反転めがね
 頂角が90度の直角プリズムを使って,視野の上下反転または左右反転を実現することができる.これは,古くはWheatstone(1852)が“シュードスコープ”で使用したのと同じ原理である.ホイートストーンはこの装置を,両眼視差を反転させる立体視研究に用いたが,図9に示すように,この方式のシュードスコープは,彼の目的であった視差反転以外に,視野像の左右反転も同時に引き起こすことになる.

図9挿入

 この装置を利用して,左右反転めがね長期着用実験を最初に行ったのは,インスブルック大学チームであった.発案者はコーラーであったが,彼はホイートストーンのシュードスコープを手本にこの方式を考案したと明記している.図10は,インスブルックのメンバーの1人コッテンホッフが,後に自らの論文(Kottenhoff, 1957)で,コーラーらの実験を解説する際に掲載した写真である.目の前近くの対象物が二重像にならないよう,2つのプリズムの向きは垂直軸のまわりに少し回転調整(収斂)されていた.視野の広さは,縦33度,横25度であった.インスブルック大学チームは,この左右反転めがねを用いて,37日間と24日間の2度にわたる長期着用実験を実施した(2度目の実験はコーラー自身が被験者であった).なお,直角プリズムのサイズやめがね総重量について,Kohler(1964)には記載されていない.

図10挿入

3.2 竹井機器製めがね
 1970年代,竹井機器が直角プリズム式上下反転めがねと左右反転めがねを心理学実験用具として商品化し,今日,我が国の心理学研究室にかなりの数,納入されている.商品名は,インバーシングプリズム(上下反転めがね)とリバーシングプリズム(左右反転めがね)である.図11に示すように,ともに両眼視用で,2つの光学ガラス製直角プリズムで構成されており,1つのプリズムの大きさは約60(底)×30(高)×40(厚)mmである.当初,枠部分は金属製であったが,現在は硬質ウレタンで作られている.顔に当たる部分は,厚みのある布製パッド,ベルト部分はゴム入りの布とマジックテープで作られている.ともに重量は300g程度で,視野の広さは,インバーシングプリズムは水平55度で垂直32度,リバーシングプリズムは水平24度で垂直50度と,ともに視野変換のクリティカル方向で狭い視野しか得られない.

図11挿入

 直角プリズムで視野反転が起こる光学的原理は,図12に示すとおりである.外界からの光線がプリズムに入ると,プリズムの底面(ベース面)が鏡の役割を果たし,最終的にプリズムへの入射角と対称な方向への屈折が起こり,反転像が得られる.なお,プリズムの底面をベース面と呼ぶのに対し,直角部分を頂点と呼ぶ.

図12挿入

 竹井機器のインバーシングプリズムのベース面が水平に設定されている点は同方式の他の上下反転めがねと同じであるが,リバーシングプリズムの2つのプリズム・ベース面が平行に固定されている点は,先のコーラーや後に解説する吉村の直角プリズム式左右反転めがねと異なる点である.そのため,竹井機器のリバーシングプリズムでは,近くの対象物(1m付近まで)が二重像になるという難点を抱える.

3.3 ドレッツァールの上下反転めがね
 Dolezal(1982)は,自作の上下反転めがねを用いて,自ら2週間着用する実験を行った.用いた直角プリズムは,両眼別に分離されておらず,長く大きなものであった(これにより両眼の垂直視差を防ぐことができた).また,視野を広くするため,図13のように2本のプリズムの銀メッキしたベース面同士を上下に合わせ,さらに突き出た鼻の部分に切り込みを入れ,プリズム全体を眼に近づける工夫を行った.図13bには,よけいな反射像を遮蔽するためプリズムの2面(長さ49mmの2面)に貼られたテープ(それぞれ38mm)を含め,2つの直角プリズムの組み合わせによる上下反転像形成の仕組みを示した(b図のもとは,彼が視野変換を起こさない統制用のプリズム解説図として掲載したものだが,それを筆者が大幅に改変した).

図13挿入

 大きな光学ガラス製プリズムを2本も用いていたので,彼の光学系はずいぶん重く,さらにヘルメットの後頭部にカウンターバランス用のおもりをつける必要が生じ,総重量は3.8kgとなった.ドレッツァール本人が着用している様子を図14に示した.プリズム1本の大きさは,直角三角形の斜辺が69mm,直角を挟む2辺がそれぞれ49mm,横の長さが167mmであった.これを2本合わせることにより最終的に実現できた視野の広さは,縦46度,横115度であった.

図14挿入

 後に来日したドレッツァールと面談した折り,この仰々しい装置からは想像もつかないスマートなゴーグル式上下反転めがねを見せてもらった.やはり横長の直角プリズムで作られていたが,ずいぶんコンパクトな仕上がりであった.購入を勧められたのに断ったことを,今さらながら残念に思う.

3.4 吉村の広視野左右反転めがね
 最近の我が国での上下反転めがね,あるいは左右反転めがね長期着用実験では,竹井機器製のものを使わず,被験者に合わせて自作しためがねを使用することが多い.作成に際して目指していることは,長期着用に耐えうる軽いめがねであることと,視野を少しでも広くすることである.前者については,光学ガラスに比べ比重が半分の光学アクリル製直角プリズムを用いている.後者に関しては,被験者の顔の形や眼の位置に合わせてめがねの枠を作り,プリズムを眼にできるだけ近づけ視野拡大を図っている.たとえば,筆者自らが被験者となった左右反転めがね長期着用実験(金沢'86)では,図15に示すように,2つのプリズムのベース面の対物側をやや狭めることにより,(近距離の二重像を防ぐとともに)視覚変換のクリティカル次元である左右視野を約80度確保できた(吉村, 1993b, 1997).用いたプリズムのサイズは竹井機器製のものと同じであるが,めがねの総重量は160gと,竹井機器製のもののほぼ半分であった(プリズム支持枠には厚さ5mmと8mmのバルサ材を用いた).

図15挿入

 その後,吉村(1997)は,さらに広い視野の左右反転めがねを目指し,図16に示したものを作成した.贅沢なことだが,片眼用に3つの直角プリズムを研削して組み合わせ,両眼で6つの直角プリズムを使用した.

図16挿入

 まず,図16aのように,ベース面の長さが35mmの小さめの直角プリズムの頂角部分を上底が19mmの台形になるまで削り取る(削除部分は像の反転に関与しないため).このような台形状の直角プリズムを“ドーブ(Dove)・プリズム”と呼ぶことがある(19世紀ドイツの物理学者Dove, H.W.にちなんだ命名).これを2つ作成し上底部分で貼り合わせる(図16a参照).そして,ベース面の長さが80mmの大きな直角プリズムの頂点部分を35mmの長さになるまで削り取り,先に作成したベース面35mmの貼り合わせプリズムの一方のベース面と両端を正確に揃えて固定する(鏡面として利用するので,今回は接着しない).こうして,図16bのaとbができあがる.これを2組作成し,両眼用とする.2つの貼り合わせプリズムbとcの貼り合わせ面がほぼ両眼の瞳孔距離となるように,プリズム群をバルサ材枠に固定する.図16bでは,80mmの2つのプリズム(aとd)のベース面同士が平行に描かれているが,実際にはやや対物側を狭め(収斂させ),横方向の視野拡大が図られた.こうして試作した左右反転めがねを筆者自身が着用して視野測定を行ったところ,水平方向約120度という広視野を実現できた.視野の広さが100度を超えると,覗き窓から外を見ているという印象はまったく消え,左右反転の広い視野像を享受できる.めがねの総重量は,230gであった.このめがねを使用して,吉村(1999)の2週間着用実験[金沢'97]が行われた(現在,東京造形大学の粟野由美講師の手により精密な整形作業が進められている).

4. アミチダハ・プリズムを用いた逆転めがね
 視野の上下も左右も反転する逆転めがねは,ストラットン以来,海外では凸レンズを組み合わせた方式で実現されてきた〈1節参照〉.しかし我が国では,古賀(1988)がアミチダハ・プリズムを用いて新たな方式を開発した.以下に,古賀(1988)に従って,この方式の解説を行う.
 アミチダハ・プリズムとは,開発者であるイタリアの天文学者Amici Giovanni Batlista(1786-1863)にちなんだ命名である.直角プリズムの全反射面を,光の入力面と直角にダハ面として切削・研磨する.全反射面をダハ面にすることにより,光軸を全反射面に対して直交する面でさらに180度入れ替え,結果的に逆転を実現する.光学ガラスBK7を用いた加工は精度を要するため,古賀は光学機器メーカーの協力を得て,最終的に図17に示すかなり大型のアミチダハ・プリズムを作成した.そして,これを2つ使用して,両眼用の逆転めがねとして組み上げた.

図17挿入

 古賀自身も,このめがねを用いて実験を行っているが,筆者も自身が被験者となり,2週間の着用実験[金沢'88]を行った(吉村, 1989, 1990, 1997).その際の視野の形と広さは図18に示すとおりである.めがね総重量は215gであった.

図18挿入

5. ビデオ方式逆さめがね
 古賀(1988)はさらに,名古屋大学環境医学研究所において,当時同研究所第6部門主任であった苧阪良二教授と協力し,小型TVモニター(1.5インチ・ファインダー)と撮像管を左右眼用に2組ヘルメットに装着する方式の逆さめがねを試作した.この試作品の特徴は,ビデオ撮影した目の前の映像が電子信号であるため,スイッチで瞬時に,正常映像・左右反転映像・上下反転映像・逆転映像と切り替えて提示できる点である.弱点は,試作された1980年代当時,これらの機器は大きく重く,カメラとファインダを搭載したヘルメットを着けた状態では,身体活動を自由に行えなかった点である.
 近年,ビデオ機器の小型軽量化が飛躍的に進み,頭に装着する数百グラムのゴーグル式モニター(オリンパス社Eye-Trekなど)が安価に入手できるようになった.このモニターに小型カメラと反転用の小さな鏡をつけたビデオ方式の反転めがねを,女子美術大学の坂田勝亮助教授が作成している.図19に示したのが,この装置を着用した被験者の様子である.ビデオモニターへの電源供給は,小さなバッグに入れたバッテリーで行えるため,被験者は自由に野外で活動することができる.ゴーグル上部に安価で軽量な小型ビデオカメラと鏡が取り付けられている.カメラを取り付ける向きと鏡を介するか否かにより,正常視・逆転視・左右反転視・上下反転視の切り替えが可能である.重要な点は,目の前に見える視野が自然な画角となる小型カメラを選ぶことである.坂田氏は,キーエンス社のCK-200Bを使用している.被験者が見ている視野像をビデオレコーダに記録できる点も,この方式の利点である.装置の重量は,ゴーグル式ビデオ部分が105g,小型カメラと鏡部分が25g,腰に付けるバッテリー部が410gである.

図19挿入

 その他の特徴として,左右の音声を独立提示できるため,音源の左右反転も可能である(シュードフォン機能).一方,難点として坂田氏は,画像が悪く,眼精疲労が大きいこと,バッテリー使用時には時間制限があること,頭部への固定が難しく身体運動時にゴーグル自体が動揺する点などを指摘している.

6. どこにめがねを固定するか
 「めがね」と言えば,頭部に固定するのが一般である.しかし,便宜的に「めがね」と呼んでいても,逆さめがねの場合,さまざまな固定箇所をとりうる.そして,どこに固定するかにより,映像の性質が異なってくる.頭部に固定する逆さめがねを基準に,それよりも下位の座標系である眼球に固定する逆さめがね,逆に上位の座標系である肩に固定する逆さめがね,さらには身体外に固定する逆さ装置について検討する.

6.1 頭に固定するめがね
 これまでのほとんどの実験で採用されてきたのは,頭に固定する逆さめがねであった.この場合,眼だけを動かして視野内の目標物を見るとき,正常視の場合と同様,難なくそちらを向くことができる(もちろん,映像自体は逆さに見えるのだが).ところが,頭以上の座標系,すなわち頭や身体を動かすと,視野像がそれらの動きに応じて不安定に揺れ動き,的確に視対象を捉えられないことになる.いわゆる“視野の動揺”である.たとえば,左右反転めがねを着けて頭を左に動かすと,視野像も左に動き,正常視状況のときのような静止感が得られない.ただし,視野が動揺するのは,頭の動きが左右成分を含んでいるときだけで,頭や身体の上下運動に対しては動揺感が生じない.頭を傾ける回転運動を行ったときも視野はその方向へ2倍量,傾く動揺を引き起こす.対照的に,上下反転めがね着用時には,上下成分の頭の動きを含んでいるときにのみ,動揺感が生じる.当然,頭の傾斜運動時にも生じる.面白いことに,視野が左右も上下も反転する逆転めがね(180度回転視)着用時には,頭を傾斜させても動揺感は生じない.

6.2 眼球に固定するコンタクトレンズ式逆さめがね
 慣れていない人なら,視力矯正用のコンタクトレンズを着けただけでも異物感が強く涙がとまらないが,何とその先にプリズムを着けるという奇抜な発想を実行した研究者たちがいた.
 Smith & Molitor(1969)は,図20に示す装置を眼科医の協力のもと作成し,人間への着用を試みた.コンタクトレンズは,角膜とその周辺のきょう膜に固定され,その先にプラスチックの円筒が接着され,その中に長さ8mmのドーブ・プリズムが挿入された.そして,円筒内で回転・調整できるようにされていた.この装置を着用すると,眼を動かしただけで視野像は劇的に揺れ動くことになる.理論的には,眼を動かさず1点注視している限り,視野像は動かないはずだが,実際の被験者は,着用後しばらくは1点注視すらできなかった.眼が勝手に動き,鮮明な映像が得られないのである.このコンタクト装置を自ら着用したスミスの記述を紹介しよう.

図20挿入

この装置を約45分間,右眼に着用した.着けはじめは,ほとんど何も見えなかった.10分ないし15分後,遠くの目標物を注視できるようになったが,静止物しか注視できなかった.“素早くかすめ飛ぶような見え方(skittered vision)”というのが,このプリズムを通して見える不安定で落ち着かない視野像に対する最もうまい記述である.しかも,たとえきょう膜レンズそのものによる痛みがなかったとしても,極度に滅入ってしまう苦痛を伴う経験である.定期的に目を覆うことによって,苦痛から逃れる必要があった.見え方そのものは,ほとんどの時間,ぼけた映像であった.着用期間の終盤に至っても,このプリズムを一瞬たりとも両眼に着けることは不可能と思えた.困惑と痛みがあまりに強く,自分以外の人に被験者になってもらうことなどできそうもない.(Smith & Molitor, 1969, p.77-78)

 惨憺たる状況である.この報告をおそらく知らずに(少なくとも引用されていない),ソビエトでも,同様の装置を考案し,注視行動に関する眼球運動測定を行った研究者がいた.Barabanshchikov, Belopol'skii, & Vergiles(1980)である.彼らの用いた装置に関して特記すべき点は,この方式での視野の広さが約40度もあったことと,図21に示すように,ドーブ・プリズムを2つ組み合わせて,0度から180度までの傾斜視が実現できる装置も作成していた点である.この場合,視野の広さは,約30度であった.図21のbと記されている吸引部をもち,コンタクトレンズは,角膜ときょう膜に吸着式で固定されていた.

図21挿入

6.3 肩に固定する逆さめがね
 世界で最初に逆さめがね長期着用実験を報告したストラットンは,凸レンズ式の逆転めがねのほか,鏡を肩と腰に固定する大がかりな視野変換装置も作っていた.そして,それを用いて3日間(正味24時間)の着用実験を行っていた(Stratton, 1899).図22に示したのがその概要図である(後のグレゴリー, 2001の解説図の方が肩に固定されている様子が分かりよいので,ここではその図を引いた).

図22挿入

 まず,被験者の目の前に4インチ四方の小さな鏡を45度の角度で設置する.そして頭上10インチの高さに,左右20インチ,前後24インチの長方形の鏡(斜線部分)を下向き水平に設置する.眼のまわりは,小さな鏡以外から直接,前方を見れないようにするため覆いがされていた.そうすると,図のように,被験者自身のからだが目の前に横たわって見えることになる(眼の前方約2フィートの距離に頭が見える).
 この装置全体がフレームに固定され,肩や腰に装着されていれば,眼の運動のみならず頭を動かしても視野の動揺は起こさないはずである.そして,肩や腰の運動や全身での歩行運動時にはじめて,視野の動揺が生じることになる.しかしながら,ストラットンの作成した実際の装置は,そこまで徹底されておらず,目の前の小さな鏡が頭部に固定されていたことから,頭を動かしただけでも,視野の動揺が生じていたと考えられる.

6.4 身体外に固定された逆さめがね
 身体外に固定された逆さめがねは,もはや「めがね」と呼ぶにはなじまないかもしれない.直角プリズムなどを挿入した覗き穴を通して,自らの手で行う書字動作などを観察する装置である.長時間着用の順応実験には向かないが,どのような変換が施されているかを知らずに手動作を行う被験者の知覚−運動協応の混乱を把握するなどには適している.
 この方式は,我が国でも古くに使用されており,たとえば高木・土井(1935)が,図23aに示す装置で実験を行っていた.a図のドーブ・プリズムを同図bのように覗き穴に挿入し,それを通して被験者は鉛筆で線を引く自分自身の様子を観察する.プリズムの挿入方向は同図cのように,45度刻みでさまざまに変化された.

図23挿入

 筆者ら(吉村・古賀,1995)も,身体外に固定された覗き穴に左右反転プリズムを挿入する方式の装置を用いて,“視覚の優位”をデモンストレーションする実験を行った.被験者は,振動する円筒(振動子)に両手の人差し指を触れ,振動につれて回転する指の方向感を見て感じながら報告する(図24参照).覗き穴の裏側には液晶シャッター(瞬時調光ガラス)が置かれており,被験者に視覚刺激を与えるタイミングがコントロールされた.

図24挿入

7. アートとしての逆さめがね
 天と地が逆さまに見える世界は,アーティストからも強い関心を寄せられている.最近,筆者が関わった我が国のアーティストによるいくつかの作品を紹介しよう.
 まず,津田貴司氏と松田文氏で結成するPNdBは,逆さめがねを使って2000年に『Dual Sight』という作品を発表した.単眼用の上下反転めがねと左右反転めがねである「プリズム・ビューワー」を装着し,鑑賞者に視知覚と身体知覚の分離を体験してもらうという作品である.この体験そのものがDual Sightであり,「プリズム・ビューワー」は『Dual Sight』体験のためのインターフェイスと位置づけられる.ウレタン・ラバーと光学ガラス製直角プリズムで構成された「プリズム・ビューワー」を用いた会場でのプレゼンテーションの様子を図25に示した.嘔吐につながりかねない不快感を回避しつつ,視野変換の効果を鑑賞者に求める作品である.
図25挿入

 多摩美術大学デザイン学科2001年度卒業作品として,同学科の飯塚友佳子さんがスマートなデザインの上下反転めがねを作成した.図26に示すのがそれである.材料自体はアクリル製の直角プリズムとバルサ材の枠で,筆者が用いているものと変わらない.しかし,パテを使った滑らかな整形と赤茶色の彩色により,見事な出来映えに仕上がっている.上部のひさしは,直角プリズムのベース面を上にすることにより不要となるので(上からの外乱光を遮蔽する必要がなくなるため),現在,その方式への改良を試みてもらっている.

図26挿入

 『逆さめがねが街をゆく』(吉村・川辺,1999)の共著者の川辺千恵美さんも,千葉大学意匠工学研究科在籍中(1997年),「違和感を求める遊び」の一環として,覗き穴式「左右(上下)反転アンケートBOX」を作成した.覗き穴に挿入された直角プリズムの向きを差し替えることにより,左右反転と上下反転を切り替えることができる.図27に示すように,覗き穴を通してアンケート用紙に記入してもらうという趣向だが,この作品では,アンケートに記入している行為そのものが評価の対象となる.手段を目的化させたうがった作品である.

図27挿入

 質問項目には,たとえば「あなたは今,どんな状況ですか?あてはまるもの全てに○をつけて下さい」などがあった.「1.混乱 2.あせり 3.平常 4.たいくつ 5.驚き 6.喜び 7.怒り 8.いらつき 9.悲しみ 10.絶望 11.苦しみ 12.その他(  )」の中から,当てはまるものに○を付けてもらう.○が思うように描けず,いらつきながら,「いらつき」に○を付け,怒りながら「怒り」にげじげじの○を付けている様子を,正常視の世界にいる人たちは裏(図では手前側)から観察することになる.思いのほか,「喜び」に○を付ける人が多かったという.記入用紙は覗き穴を通してまともに読めるようにあらかじめ左右(上下)反転印刷されている.したがって被験者は,質問用紙は正常に見えるのに手の映像とその動きが思い通りでなく,いっそうの違和感を体験する.

図28,図29挿入

 武蔵野美術大学視覚情報デザイン学科の陣内利博教授が作成した『複眼ドーム』も,広い意味で逆さめがねの一種と考えられる.ドーム状の多面体のそれぞれの面にピンホールがあけられており,ドーム内の各スクリーンに外界の逆転像が映り込む.ドームの内側から撮影した図28が示すように,各ピンホールからの映像は確かに外界の逆転像になっているが,外界の右側にある風景は,ドーム内でも右側のスクリーンに,また外界の上側映像もドーム内の上側スクリーンに投影されている.この点がストラットン以来の逆さめがね実験で用いられてきた逆転めがねと異なる点である(逆転めがねでは,一貫して外界の右側のものは左側に,上のものは下側に投影される).おそらくこの特徴が,外界対象物の位置関係や水平方向の適切な把握を促し,図29に示すように,着用開始まもなくであるにもかかわらず,水平バランスを必要とする自転車乗りなどを可能にするのであろう.陣内は,この『複眼ドーム』を京都の「ギャラリーそわか」で開かれた「昆虫感覚館」(1998年5月19日〜31日)で展示したほか,東京大学本郷キャンパスや慶応大学湘南キャンパスでもデモンストレーションしている.また,簡易型複眼ドームを自作するためのマニュアルも提供している.

 今後は,このようなアートとのコラボレーションのほか,最先端のコンピュータ画像を利用したパーチャル・リアリティ装置上での逆さめがねの展開なども考えられる.そこでは,世界は正立して見えるのに,視野の動揺だけを引き起こすバーチャルな世界も創りうるはずである.

引用文献
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Ewert, P.H. 1930 A study of the effect of inverted retinal stimulation upon sptially coordinated behavior. Genetic Psychology Monographs, 7, 177-363.
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グレゴリー, R.L. 近藤倫明・中溝幸夫・三浦佳世(訳)2001 脳と視覚:グレゴリーの視覚心理学 ブレーン出版(原著 Eye and Brain 5th ed.は1998年)
古賀一男 1988 視野変換の方式 森孝行(編) 視野変換による知覚体制の崩壊と再構造化(昭和62年度科学研究補助金総合研究A研究成果報告書) pp.245-273.
Kohler, I. 1964 The formation and transformation of the perceptual world. Psychological Issues, 3(4), 1-173. (ドイツ語原著は1951年と1953年)
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高木貫一・土井友次朗 1935 動作に及ぼす視動作系の捩りの影響(1) 心理学研究, 10, 519-544.
太城敬良 1984 眼鏡の製作・構造および機能 太城敬良ほか 1984 上下反転眼鏡実験:基礎資料集 ユニオンプレス pp.5-10.
太城敬良・大倉正暉・吉村浩一・雨宮俊彦・積山薫・江草浩幸・筑田昌一・野津直樹 1984 上下反転眼鏡実験:基礎資料集 ユニオンプレス
Wheatstone, C. 1852 Contributions to the physiology of vision. Part the Second. On some remarkable, and hitherto unobserved, phenomena of binocular vision (continued). Philosophical Magazine, 4, 504-523.
吉村浩一 1989 逆転めがね14日間着用実験(金沢’88)における内観報告データの検討 金沢大学文学部論集行動科学篇, 9, 11-38.
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吉村浩一 1993a 眼上鏡式上下反転視実験:自己の身体が見えることの意味, 金沢大学文学部論集行動科学科篇, 13, 1-34.
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吉村浩一 1997 3つの逆さめがね[改訂版] ナカニシヤ出版
吉村浩一 1999 広視野左右反転めがね長期着用実験:金沢’97 金沢大学文学部論集行動科学・哲学篇, 19, 1-20.
吉村浩一・川辺千恵美 1999 逆さめがねが街をゆく ナカニシヤ出版
吉村浩一・古賀一男 1995 ボディ・イメージの視覚性:左右反転視開始直後の手・指の運動感 名古屋大学環境医学研究所年報, 46, 39-42.

図の表題

図1. 逆転めがねを通して無限遠(細線)と眼から25cmの点P(太線と破線)を見ているときの光学模式図(top view) (Ewert, 1936 より引用)

図2. Ewert(1930)の逆転めがねの外観

図3. Snyder & Pronko(1952)の逆転めがねに用いられたレンズ系

図4. Snyder & Pronko(1952)の逆転めがねを支える装置

図5. インスブルック大学チームが作成した眼上鏡式上下反転鏡 (Kohler, 1964 より引用)

図6. 我が国で行った共同実験での眼上鏡式上下反転鏡(太城,1984より引用)
 a. 眼上鏡を着用した被験者  b. 眼上鏡視野の実測値

図7 我が国で行った共同実験での眼下鏡式上下反転鏡(太城,1984より引用)
 a. 眼下鏡を着用した被験者 b. 眼下鏡視野の実測値

図8 眼上鏡式上下反転鏡着用時の姿勢と視野の方向
 a.直前方視するための姿勢  b. 頭を垂直にしたときの視野方向 c. 頭を下げたときの視野範囲

図9 Wheatstone(1852)のシュードスコープ

図10. インスブルック大学チームが用いた左右反転めがね(Kottenhoff, 1957 より引用)

図11. 竹井機器の逆さめがね
 a. インバーシングプリズム      b. リバーシングプリズム
      (上下反転めがね)               (左右反転めがね)

図12. 直角プリズムによる視野反転の原理

図13. Dolezal(1982)の上下反転プリズム
 a. ドレッツァールの上下反転プリズム   b. 2つのプリズムの組み合わせ
                   (説明の便宜のため原図を大幅に改変した)

図14. 自作の上下反転プリズムを着用したドレッツァール(Dolezal, 1982 より引用)

図15. 筆者が被験者となって行われた金沢’86で用いた左右反転めがね(吉村, 1993b より引用)
 a. 着用時の模式図(top wiew)          b. 視野の形と大きさ

図16. 筆者の広視野左右反転めがね(吉村, 1997より引用)
 a. 2つの小型ドーブ・プリズムを貼り合わせる b. プリズムの組み合わせと視野の位置

図17. 古賀(1988)が作成したアミチダハ・プリズム

図18. 逆転めがね着用実験(金沢'88)で用いたアミチダハ・プリズムの視野(吉村, 1989 より引用)

図19. ゴーグルモニター式逆さめがね(坂田氏提供)

図20. Smith & Molitor(1969)が作成したコンタクトレンズ式反転視装置

図21. Barabanshchikoら(1980)の2つのドーブプリズム組み合わせ式装置

図22. ストラットンが作成した肩固定式上下反転鏡(グレゴリー,2001より引用)

図23. 高木・土井(1935)の視野変換装置

図24. 調光シャッターつき反転視覗き穴(吉村・古賀, 1995より引用)

図25. PNdBによる『Dual Sight』 (2002年4月フィリップモリス・アートアワード2002「ザ・ファースト・ムーヴ」展にて)

図26. 飯塚友佳子氏が卒業作品として作成した上下反転めがね

図27. 川辺千恵美氏の「左右(上下)反転アンケートBOX」

図28. 陣内利博氏の作成した「複眼ドーム」の内部スクリーンの映像

図29. 自転車に乗る「複眼ドーム」着用者(1999年7月16日 東大佐々木正人研究室とのコラボレーション)